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今日は、食器のウレタン塗装について気になっているあなたに向けてお話しします。木製食器のウレタン塗装は扱いやすくて便利な一方で、本当に安全なのか、子どもにも使って大丈夫なのか、気になりますよね。
合成漆器やPET樹脂食器などの樹脂製の器にもウレタン塗装が使われていて、電子レンジ対応や食洗機対応と書かれた商品も増えています。
その一方で、ウレタン塗装の安全性や、木製食器のお手入れ方法、メリットとデメリット、オイル仕上げや漆塗りとの違いなど、正しく理解しておきたいポイントもたくさんあります。
このページでは、木製食器や合成漆器の表面に使われるウレタン塗装がどんな塗装なのか、安全性や法律との関係、電子レンジや食洗機を使ってよいケースと避けるべきケース、さらに長く使うためのお手入れ方法まで、できるだけわかりやすく整理していきます。
読み終わるころには、自分や家族の暮らしに合ったウレタン塗装の食器を安心して選べるようになっているかなと思います。
この記事で分かること
- 食器のウレタン塗装の基本と仕組み
- 安全性と食品衛生法との関係
- 電子レンジや食洗機で使うときの判断基準
- ウレタン塗装食器を長持ちさせるお手入れのコツ
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食器のウレタン塗装の基礎と魅力

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まずは、そもそも食器のウレタン塗装とは何か、どんな仕組みで器を守ってくれているのかをしっかり整理していきます。
ここがわかると、「どこまで信用していいのか」「自分の暮らしに合っているのか」がイメージしやすくなるはずです。
木の風合いが好きなあなたにとって、ウレタン塗装がベストなのかどうかも、一緒に確認していきましょう。
ウレタン塗装とは何か
食器のウレタン塗装は、ポリウレタン樹脂を主成分とした塗料を器の表面に塗り、薄い樹脂の膜をつくる仕上げ方法です。この樹脂膜が、木や樹脂の素地を外側の世界から守るバリアのような役割をしてくれます。
木製食器の場合は、素地の木に直接触れるのはウレタンの塗膜ではなく、空気や水分が直接木の繊維に入り込まないようにふたをしているイメージですね。
塗料自体はいわゆる「液体の樹脂」ですが、塗ったあとに乾燥・硬化することで、連続した一枚の膜になります。これがウレタン塗装のポイントで、塗り重ねる回数や塗料の種類によって、ツヤ感や厚み、耐久性が変わってきます。
透明のウレタン塗装なら木目をそのまま生かしつつ、着色タイプなら木目をほんのり透かしながら、濃いブラウンやブラックなどの雰囲気ある色合いを出すこともできます。
樹脂製の合成漆器やPET樹脂食器では、素地そのものも合成樹脂ですが、その上にウレタン塗装を施すことで、指触りをなめらかにしたり、ツヤを出したり、色を安定させたりといった役割を持たせています。
合成漆器の場合は、漆のような深い色とツヤを、比較的リーズナブルに実現できるのも大きなメリットです。
ウレタン塗装の塗料には、水で薄めて使う水性タイプや、主剤と硬化剤を混ぜる二液型タイプなどがあり、DIY用からプロ向けまで幅広くラインナップがあります。
食器用として使われるものは、食品衛生法に適合した原料でつくられた塗料が前提で、きちんと乾燥・硬化すれば、日常使いに十分耐えられる強さを持った塗膜になります。
大事なのは、「ウレタン塗装 = 危険」ではなく、「どんな塗料をどう使っているか」で安全性も耐久性も変わるということです。
同じウレタンでも、家具用と食器用ではそもそもの設計思想が違いますし、乾燥時間や塗り方を守れているかどうかでも仕上がりは大きく違ってきます。
食器のウレタン塗装を理解する第一歩として、「表面に一枚の樹脂の膜が張られている」「その膜の品質が、使い心地と安全性を左右する」というイメージを持っておいてもらえると、このあとの話もスッと入ってくるかなと思います。
ウレタン塗装が選ばれる理由

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では、なぜここまで食器のウレタン塗装が選ばれているのか。あなたも「木の器ってなんとなく手間がかかりそう」と感じたことがあるかもしれません。
実際、無塗装の木やオイル仕上げの器は、水分や油を吸いやすく、シミやにおいが残りやすいですし、定期的にオイルを塗ってあげないと乾燥して割れやすくなったりもします。
ウレタン塗装が支持されている理由は、ひと言でいえば「木の雰囲気を残しつつ、扱いやすさをグッと引き上げてくれる」からです。
表面に樹脂の膜があることで、カレーやトマトソースのような色の濃い料理でもシミになりにくく、食器用洗剤とスポンジで、ほかの食器と同じような感覚で洗えるようになります。
特に、子ども用の器や毎日ヘビーローテーションで使う器は、どうしても汚れが付きやすく、扱いがラフになりがちです。
そういうシーンでは、「気を張らずに使える」「多少ラフに扱っても大きなダメージになりにくい」という意味で、ウレタン塗装の安心感はかなり大きいと思います。
また、合成漆器やPET樹脂食器の世界でも、ウレタン塗装は大活躍しています。軽くて割れにくい樹脂製の器は、落としたときの危険が少なく、小さな子どもや高齢の方でも扱いやすいですよね。
そこにウレタン塗装を組み合わせることで、見た目のツヤや質感を整えつつ、汚れ落ちもよくしているわけです。
一方で、「電子レンジや食洗機に対応しているかどうか」は、ウレタン塗装そのものというよりも、器全体の設計と素材の組み合わせで決まります。
同じウレタン塗装でも、耐熱温度や圧力への耐性が違うため、ラベルに「電子レンジ可」「食洗機不可」などがしっかり書かれているかどうかは必ずチェックしたいポイントです。
まとめると、食器のウレタン塗装が選ばれるのは、
- 木や樹脂の器を、水や汚れから守ってくれる
- 普段使いの手間をぐっと減らしてくれる
- 見た目もツヤっときれいで、食卓が少し上質に見える
といった理由があるからです。木の雰囲気を楽しみたいけれど、メンテナンスにそこまで時間をかけられない…というあなたには、かなり頼れる選択肢になると思いますよ。
ウレタン塗装の耐水性と耐久性の仕組み
ウレタン塗装の食器を語るうえで外せないのが、耐水性と耐久性の話です。ここがしっかりしているからこそ、「木製なのに普段使いしやすい」というポジションを確立しているんですよね。
まず耐水性について。ウレタン塗装の塗膜は、細かい穴やすき間がほとんどない、連続した樹脂の層になっています。
この層が、外側からの水分や油分、ソースなどの色素が、木の内部や樹脂の本体に染み込むのをブロックしてくれるイメージです。
木自体が水を吸う前に、表面の塗膜でブロックしているので、シミや反り、ひび割れなどが起こりにくくなります。
とはいえ、どんな塗膜にも限界はあります。熱湯に長時間つけっぱなしにしたり、強い洗剤でゴシゴシこすったりすると、少しずつ表面に細かい傷が増え、見えないレベルで塗膜が薄くなっていきます。
そこから徐々に水が入り込みやすくなり、ある時点で急にシミやひびが目立ち始めることもあるので、「強すぎないお手入れ」と「長時間の放置をしないこと」がとても大事です。
耐久性という面では、ウレタン樹脂は硬さと柔らかさのバランスがよく、日常的なこすれや小さな衝撃にはかなり強い素材です。
スプーンやフォークが当たる程度なら、すぐに深い傷になることは少ないですし、小さな傷がついても、全体としてはツヤや色が保たれやすいです。
ただし、包丁でガリッとやってしまうような鋭い衝撃や、硬いものを勢いよくぶつけるような使い方をすると、塗膜に裂け目が入ったり、欠けたりすることがあります。
そこから水が入り込むと、木製食器の場合は木が膨らんで塗膜を押し上げ、剥がれが広がってしまうこともあります。
もうひとつ覚えておきたいのが、塗膜が完全に乾いて硬化しているかどうかです。メーカーや塗料の種類にもよりますが、ウレタン塗装は「触って乾いたように見えても、内部の硬化が終わるまでに数日〜数週間かかる」ことがあります。
DIYで塗った食器を使いたい場合は、説明書に書かれている期間よりも余裕を持ってしっかり乾燥させてから使うのが安心です。
こんなふうに、ウレタン塗装の耐水性と耐久性はかなり優秀なのですが、それはあくまで適切な塗装・乾燥・使い方が揃っていることが前提です。
そこさえ押さえておけば、日常の食卓でかなり気楽に使える、頼れるパートナーになってくれますよ。
ウレタン塗装のメリット・デメリット比較

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ここまでの話をいったん整理する意味で、ウレタン塗装のメリットとデメリットを、改めてしっかり比べてみます。
なんとなくのイメージだけで選ぶと、「思っていたのと違った…」となりがちなので、自分の暮らし方との相性をイメージしながら読んでみてください。
| 項目 | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 耐水性 | 水や油が染み込みにくく、シミになりにくい | 長時間のつけ置きや、高温・高湿の環境では劣化が早まることがある |
| お手入れ | 中性洗剤とスポンジで、ほかの食器と同じ感覚で洗える | 深い傷や広範囲の剥がれは、家庭での修復が難しいことが多い |
| 見た目 | ツヤが出て、高級感と清潔感のある仕上がりになる | 木の素の手触りや、ざらっとした質感は感じにくくなる |
| 耐久性 | スプーンやフォーク程度の摩耗には強く、長くきれいな状態を保ちやすい | 熱や溶剤には弱く、電子レンジ・食洗機の使用には注意が必要 |
| メンテナンス | 定期的なオイル塗りなどが不要で、気軽に使い続けられる | 自分好みにエイジングさせる「育てる楽しみ」はオイル仕上げより少なめ |
特に木製食器が好きな方にとって大きいのは、「木の質感をどこまで優先するか」というポイントかなと思います。
ウレタン塗装は、見た目としては木目を楽しめますが、触り心地はツルっとしていて、無塗装やオイル仕上げのような「木に触っている感じ」は一歩引いた印象になります。
一方で、忙しい毎日のなかで「器に手間をかける余裕はあまりないけれど、プラスチック感が強いのはちょっと…」というあなたにとっては、ウレタン塗装の木製食器はかなりバランスのいい選択肢です。
木の見た目と、合成樹脂の扱いやすさのいいとこどりをしているイメージですね。
デメリット側で気を付けたいのは、やはり熱と溶剤への弱さです。電子レンジ不可の木製食器をレンチンに使ってしまったり、塩素系漂白剤でガッツリつけ置きしてしまったりすると、思った以上に早く塗膜がダメージを受けてしまいます。
「ウレタン塗装だから何をしても大丈夫」というわけではないので、器ごとの使用表示をよく見て、NGと書かれていることは避けるのが大事なところです。
総合的に見ると、ウレタン塗装の食器は「木の器を、普段使いのメインとしてガンガン使いたい」タイプのあなたと相性がいいかなと思います。
逆に、「多少手がかかってもいいから、木そのものの質感をとことん楽しみたい」という場合は、オイル仕上げなども候補に入れてあげると後悔しにくいですよ。
オイル仕上げ・漆塗りとの違い
木製食器の仕上げとしてよく名前が挙がるオイル仕上げと漆塗り。ウレタン塗装と比べると、性格がかなり違います。「どれが一番いい」ではなく、「どれがあなたの暮らしと好みに合っているか」で選ぶのがポイントです。
オイル仕上げとの違い
オイル仕上げは、亜麻仁油やくるみ油などの植物油を木に染み込ませて仕上げる方法です。表面に厚い樹脂膜をつくらないので、木の導管や繊維がそのまま残り、「木に触っている感覚」や「香り」「経年変化」をダイレクトに楽しめます。
使い込むほどに色が深くなったり、手になじんだりしていくので、「器を育てる」感覚が好きな方にはたまりません。
一方で、水や油を吸いやすいという弱点があります。スープやソースを入れたまま放置すると輪ジミができやすく、においも移りやすいです。定期的にオイルを塗り直してあげないと、乾燥してひび割れの原因にもなります。
正直なところ、毎日ガンガン使いたい食器というよりも、「お気に入りの一枚を、時間をかけて付き合っていく」タイプの器に向いています。
ウレタン塗装と比べると、
- オイル仕上げ:木の質感・香り・経年変化を重視、メンテナンスは手間がかかる
- ウレタン塗装:扱いやすさ・耐汚れ性を重視、メンテナンスはかなり楽
という違いがあります。どちらが上かではなく、あなたがどんなふうに器と付き合いたいかで選ぶイメージですね。
漆塗りとの違い
漆塗りは、天然の漆を何度も塗り重ねて仕上げる、日本の伝統的な塗装技法です。しっかりと硬化した漆は、防水性・耐久性・抗菌性に優れていて、学校給食の器に使われてきた実績もあるほど機能性の高い仕上げです。触り心地も独特で、しっとりと手に吸い付くような感覚が魅力です。
ただ、漆はアレルギーの問題があったり、扱いが難しかったり、そしてなにより高度な技術と時間が必要なため、どうしても価格は高くなりがちです。
漆器は「日常使いもできる工芸品」という側面が強く、量産品というよりは、作り手の個性が反映されたプロダクトになりやすいです。
そこで出てくるのが、合成漆器やウレタン塗装の木製食器です。合成漆器は、樹脂成形の器にウレタン塗装や漆風の塗装を施して、漆のような見た目と使い勝手を、より手に取りやすい価格で実現したもの。
ウレタン塗装の木製食器は、漆ほどではないものの、防水性と耐久性を持たせつつ、価格と日常性とのバランスをとった存在と言えます。
ざっくりまとめると、
- 木の素の表情を最大限楽しみたいならオイル仕上げ
- 伝統の美しさと高い機能性を求めるなら漆塗り
- 扱いやすさとコスパのバランスを重視するならウレタン塗装
というイメージです。食器棚のなかで、「特別な一枚」は漆やオイル仕上げ、「毎日の相棒」はウレタン塗装、といった感じで役割を分けてあげるのもいいですね。
食器のウレタン塗装の安全性と使い方

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ここからは、多くの方がいちばん気になる「安全性」の話と、電子レンジや食洗機との付き合い方、長く安心して使うためのお手入れ・選び方のポイントをまとめていきます。
「何となく不安」で止めてしまうのではなく、根拠のある情報をベースに、あなた自身が納得して選べるようになることをゴールにしています。
ウレタン塗装に関わる食品衛生法と法規制
まず押さえておきたいのが、食器のウレタン塗装と食品衛生法の関係です。日本で販売されている、食品に直接触れる器や合成漆器、PET樹脂食器などは、食品衛生法の基準に適合していることが前提条件になっています。これは、ウレタン塗装の食器も例外ではありません。
食品衛生法では、器や塗料に含まれる特定の物質が、決められた条件(温度・時間・酸性度など)のもとでどれくらい食品に溶け出すか(溶出量)を評価します。
その結果が基準値の範囲内であれば「適合」とされ、食器として流通できるという仕組みです。基準値は、あくまで一般的な目安として、人の健康に悪影響を及ぼさないレベルを踏まえて設定されています。
ここで重要なのは、「食器のウレタン塗装=自動的に危険」ではなく、「基準を満たしているかどうか」が判断の軸になるということです。
つまり、きちんと食品衛生法に適合するように設計され、試験をクリアしたウレタン塗装の器であれば、通常の使用環境で過度に不安を感じる必要はない、という考え方になります。
とはいえ、実際に私たちが店頭で成分表を細かくチェックするのは現実的ではないですよね。そこで、パッケージや説明書に「食品衛生法に適合」「食品用」といった記載があるかどうかが、ひとつの目安になります。
また、信頼できるメーカーやショップが、どのような基準で商品を選んでいるか、説明ページなどを読んでみるのも大事なポイントです。
食品衛生法や器具・容器包装の規格基準についての最新情報は、厚生労働省の公式資料で確認できます。
制度の全体像や具体的な数値が知りたい場合は、(出典:厚生労働省「食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度について」)などの一次情報源にあたると安心です。
ここでお伝えしている内容は、あくまで一般的な仕組みの紹介なので、細かな数値や個別製品の安全性については、必ず公式サイトの情報や公的機関の資料を確認してください。
判断に迷う場合や、特定の成分にアレルギーがある場合などは、専門家に相談してもらうことを強くおすすめします。
ポジティブリスト制度への対応
食品衛生法の改正により、合成樹脂製の器具・容器包装には「ポジティブリスト制度」が導入されています。これも、食器のウレタン塗装を語るうえで外せないキーワードです。
ポジティブリスト制度は、「食品に触れる部分に使ってよい化学物質をリスト化し、それ以外は原則使えない」という考え方です。
つまり、リストに載っているものだけが「使ってもよい」と認められているというポジティブ(前向き)なリストになっているわけですね。
ウレタン塗装は合成樹脂の一種なので、合成漆器やPET樹脂食器の表面に使われる場合は、このポジティブリストの考え方に沿って原料が選ばれている必要があります。
木製食器にウレタン塗装を施す場合も、食器用として販売する以上は、食品に触れる可能性があるため、同様に厳しい目線で安全性が考慮されていると考えるべきです。
とはいえ、実際には、私たちが商品を手に取ったときに「このモノマーはリストの何番で…」とチェックすることはまずありません。現実的には、
- きちんと食品衛生法に適合しているかどうか
- 合成漆器や樹脂製食器の場合、耐熱温度や電子レンジ・食洗機の可否が明記されているかどうか
- メーカーや販売店が、安全性についてどのくらい情報を開示しているか
といったポイントで判断することになります。情報をオープンにしているブランドやお店は、それだけ安全性への意識が高いと考えられますし、疑問点を問い合わせたときの対応も含めて、「この人たちから買って大丈夫そうだな」と思えるかどうかも、大切な判断材料になるかなと思います。
また、ポジティブリストの対象外となるのは、金属やガラス、紙、無塗装の木など、いわゆる「合成樹脂以外の素材」です。ただし、紙や金属の表面に合成樹脂のラミネートやコーティングがある場合は、その部分が対象になります。
こうしたややこしい境界線もあるので、「迷ったら公式情報を確認する」という姿勢は常に持っておきたいところです。
数値や制度の詳細はアップデートされ続けているので、ここで触れた内容はあくまで全体像のイメージとして捉えてもらえればと思います。
正確な運用状況や最新の規格については、必ず公式サイトや公的機関の発表を確認し、必要に応じて専門家に相談してくださいね。
ウレタン塗装で気を付ける溶出リスクと対策

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ウレタン塗装の食器でよく話題になるのが、「塗膜の成分が食品に溶け出さないの?」という溶出リスクの話です。ここは感覚的に不安になりやすいところなので、考え方と具体的な対策を整理しておきます。
まず前提として、食品衛生法やポジティブリストの考え方にもとづいて設計された食器用ウレタン塗装は、「適切な条件・適切な使い方」であれば、通常の使用環境で過度に心配しなくてよいように設計されていると考えられています。
これは、あくまで一般的な目安として、「この使い方をしている限り問題が起こる可能性はかなり低い」とされているというイメージです。
一方で、塗膜が壊れてしまったり、想定を超える高温や強い薬品に触れたりすると、話は変わってきます。例えば、
- 電子レンジ非対応の木製ウレタン塗装の器を、何度もレンジ加熱に使う
- 強い酸性の食品(濃いお酢やレモン汁など)を入れたまま長時間放置する
- 塩素系漂白剤や強アルカリ性洗剤に長時間つけ置きする
- 塗膜に深い傷や大きな剥がれがあるのに、そのまま使い続ける
こういった状況は、そもそも塗膜の寿命を大きく縮める行為でもありますし、結果として「本来の設計から外れた状態」で使うことにつながります。
溶出リスクを下げるいちばんシンプルな方法は、「器にとって無理のない使い方をすること」なんですよね。
実際の対策としては、
- 電子レンジ・食洗機の使用可否を必ず確認し、NGと書かれているものには使わない
- 酸性の強い料理(マリネ、ピクルスなど)を長時間入れっぱなしにしない
- 塩素系漂白剤ではなく、酸素系漂白剤や重曹など、比較的穏やかな方法を選ぶ
- 塗膜に大きな剥がれやヒビが出てきた器は、口をつける用途からは徐々に引退させる
といったところを意識してもらえると、リスクをぐっと下げられます。「ここまで気を付けないと絶対ダメ」というよりは、「自分が安心して気持ちよく使えるライン」を決めておくイメージで考えてもらうといいかなと思います。
なお、ここでお話ししている内容はあくまで一般的な考え方で、具体的な数値や個別の製品についての安全性はカバーしていません。
正確な情報が必要な場合は、メーカーの公式情報や公的機関の発表を必ず確認し、気になる点があれば専門家に相談することをおすすめします。
食器のウレタン塗装の日常的なお手入れ方法

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ウレタン塗装の食器を長く気持ちよく使うためのコツは、案外シンプルです。基本は、「普通の食器と大きくは変えないけれど、やりすぎない」こと。ここを押さえるだけで、塗膜の寿命がかなり変わってきます。
日常のお手入れの流れは、こんなイメージです。
- 使い終わったら、できるだけ早めに水かぬるま湯ですすぐ
- 台所用の中性洗剤を、柔らかいスポンジにつけて優しく洗う
- 油汚れが強いときも、熱湯ではなく、ぬるま湯+中性洗剤を基本にする
- 洗い終わったら、布巾やキッチンペーパーで水気をしっかり拭き取る
- 通気性のいい場所で、完全に乾かしてから収納する
ポイントは、「つけ置きしすぎない」「ゴシゴシこすりすぎない」の2つです。長時間つけ置きすると、たとえ塗膜があっても、木や樹脂の内部に水がじわじわ染み込んでいきます。これが膨張や反り、ひび割れにつながり、塗膜の負担にもなります。
また、頑固な汚れを落としたいからといって、研磨剤入りのスポンジやメラミンスポンジでゴリゴリこするのもNGです。
細かい傷がたくさん増えることで、結果的に汚れが付きやすくなったり、塗膜の光沢が不自然に落ちてしまったりします。
もし、どうしても落ちにくい汚れが気になる場合は、
- ぬるま湯に少量の中性洗剤を溶かし、短時間だけつけてみる
- 布や柔らかいスポンジで、時間をかけて優しく落とす
- それでもダメなら、器の表面ではなく「料理側」を見直してみる(色移りしやすい料理は別の器にするなど)
という形で、「器を守る」方向で妥協点を探してみてください。
なお、焼き物やガラス製の食器のお手入れと考え方が似ている部分も多いので、全体的なイメージをつかみたいときは、例えば陶器の黒ずみ汚れの落とし方や、イッタラのカステヘルミを食洗機で洗う際の注意点なども参考になると思います。素材は違っても、「やさしく洗って、しっかり乾かす」という基本は共通ですよ。
ここでお伝えしている方法は、あくまで一般的な目安です。塗料の種類や器の構造によって適切なケア方法が変わることもあるので、最終的にはメーカーの取扱説明書や公式サイトの案内を優先してください。不安な点があれば、専門家に相談してもらうのがいちばん安心です。
ウレタン塗装を長持ちさせるための禁止・NG行為

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ウレタン塗装の食器は便利ですが、「これだけはやめておこう」というNG行為もいくつかあります。
ここを避けるだけでも、塗膜の寿命や見た目のキレイさはかなり変わります。「ついやりがち」なものも多いので、一度じっくりチェックしてみてください。
| 行為 | NGな理由 | 代わりにどうする? |
|---|---|---|
| 非対応品を電子レンジにかける | 塗膜の変色・ひび割れ、最悪の場合は破損や発煙の原因になる | 電子レンジ対応の陶器や耐熱ガラスの食器を使う |
| 食洗機非対応品を食洗機で洗う | 高温・高圧水流で塗膜が急激に劣化し、剥がれやすくなる | 木製や合成漆器は手洗いを基本にする |
| 塩素系漂白剤・強い酸性洗剤の使用 | 樹脂塗膜を化学的に傷め、白濁やベタつきが出ることがある | 中性洗剤とぬるま湯、必要に応じて酸素系漂白剤など穏やかな方法を選ぶ |
| 長時間のつけ置き | 木材や素地が水を吸い、膨張・反り・ひび割れの原因になる | 汚れがひどいときも、短時間で切り上げて早めに乾燥させる |
| 直火・オーブンでの使用 | 本来想定されていない高温にさらされ、塗膜が一気に傷む | 直火・オーブン専用の器具(耐熱陶器や金属製のフライパンなど)を使う |
特に意識してほしいのは、「電子レンジ」「食洗機」「強い薬品」の3つです。この3つは、どれも家事の味方ではあるのですが、ウレタン塗装の器にとっては負担が大きくなりやすい存在でもあります。
電子レンジの場合、木製のウレタン塗装食器は基本的にNGと思っておいたほうが安全です。
木の内部が急激に乾燥・膨張・収縮を繰り返すことで、塗膜だけでなく本体の割れや反りにつながることがあります。
合成漆器やPET樹脂食器などで「電子レンジ可」と書かれているものは、その範囲内の条件であれば使えますが、それでも長時間・高出力の連続加熱は避けたほうが無難です。
食洗機についても同様で、「対応」と明記されていない木製食器や合成漆器を食洗機に入れてしまうと、高温の水と強い水流、さらに乾燥時の熱風で、一気に塗膜がダメージを受けることがあります。
全般的な食洗機の注意点を整理したいときは、焼き物を食洗機にかけるときの注意点もあわせて読んでもらうと、判断の軸がつかみやすいはずです。
塩素系漂白剤や強い酸性・アルカリ性洗剤は、汚れを落とす力が強い分、ウレタン塗膜にも大きな負担をかけます。
どうしても除菌や漂白をしたい場合は、時間と濃度をしっかり守ることと、酸素系漂白剤など比較的穏やかなものを優先することを意識してみてください。
ここで紹介したNG行為は、あくまで一般的な目安です。器の素材や構造、塗料の種類によっても適切な使用環境は変わりますので、最終的にはメーカーの取扱説明や公式サイトの案内を必ず確認してくださいね。
迷ったときは、「無理をさせない」方向で判断するのが、長く付き合ういちばんのコツかなと思います。
まとめ:食器のウレタン塗装を安心して選ぶためのチェックリスト

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最後に、食器のウレタン塗装を安心して選ぶためのポイントを、チェックリストとしてまとめておきます。買い物のとき、そして使い始める前に、このリストを思い出してもらえると失敗しにくくなるはずです。
購入前にチェックしたいポイント
- 食品衛生法に適合している旨の表示があるか(「食品用」「食品衛生法適合」など)
- 素材(木製、合成漆器、PET樹脂食器など)が明記されているか
- 電子レンジ・食洗機の可否、耐熱温度がはっきり書かれているか
- メーカーや販売店の情報発信に信頼感があるか(安全性への説明が十分か)
- レビューや評価が、極端に偏っていないか(不自然な高評価だけが並んでいないか)
使い始め・日常づかいで意識したいこと
- 開封したとき、塗膜のベタつきや強いニオイがないかを確認する
- 使い始めは、いきなり高温・長時間の使用を避けて様子を見る
- 電子レンジ・食洗機について、表示の範囲を超える使い方をしない
- 長時間のつけ置きや、強い薬品の使用は控える
- 塗膜に大きな剥がれやヒビが出てきたら、口をつける用途からは徐々に引退させる
ここまで読んで、「思ったより気を付けることが多いな」と感じたかもしれません。でも逆に言うと、このあたりのポイントさえ押さえておけば、ウレタン塗装の食器はとても心強い相棒になってくれます。
木のあたたかさを楽しみながら、日々のごはんを気持ちよく支えてくれる存在になってくれるはずです。
数値や制度の話も含めて、ここで紹介した内容はあくまで一般的な目安です。正確な情報が必要な場合は、必ずメーカーの公式サイトや公的機関の資料を確認し、最終的な判断は専門家に相談してくださいね。
食器のウレタン塗装とうまく付き合っていけば、木製食器も合成漆器も、毎日の食卓をぐっと心地よくしてくれる存在になります。あなたの暮らしに合った一枚が見つかりますように。


